人間社会学科のコミュニケーション教育について、最近の実践を報告します。1月30日のディベートⅡで、試みに「トークセッション」を行いました。授業で、学科の学生が一同に会して、主体的に意見を交換する場をもつことはコミュニケーション能力の育成という大きな目的へのアプローチになると考えたのです。
テーマはずばり「人間社会学科一期生を論じる」です。
実施日の2週間前に、人間社会学科一期生、つまり今の自分たちについての意見を募集しました。集まった意見文の中から、視点の異なる4人を選びパネリストを決定。
最初に、4人のパネリストがそれぞれの考えを述べました。
Y君「今、必要なのは厳しさ」をキーワードに、自分たちが大学生活に慣れて緊張感が欠如していることを指摘し、授業態度などの具体的な点について改善点を提案しました。
H君「具体的な目標」をキーワードに、現在受けている授業が何につながっていくのか時々見えなくなるところから、明確な方向性を求めている今の自分をことばにしました。
T君は、コミュニケーション能力を育成するなら、もっと外国語科目の時数を増やすべきではないかという提案。そこからさらに発展して、学生自身の主体性についても述べていました。
最後にO君が「自分を知ってほしい」と主張。せっかく持っている自分の良さを活かしきっていない、そのことがもったいないという指摘。自分を知るため、他人と語り合うことを提案。
以上4人の主張に加えて、教員の立場から湯川先生が各パネリストに問いかけやコメントをしていきました。ここまでが、パネリスト間のやり取りです。次に、今までのパネリストの主張を聞いていた聴衆側の学生に発言を求めました。正直なところ、初めての企画でしたので、聴衆側からのコメントが出るかどうか不安でした。しかし、こちらの心配を消し去るように複数の学生が手を挙げ、パネリストとメッセージのやりとりが始まり、まさにメッセージの授受が始まったのです。司会をしていた私は、期待した以上の展開に興奮を覚えました。後半になって、この授業を後ろで参観していた梶谷先生に、学生が意見を求めました。梶谷先生のコメントは「みんなもっと学ぶことに貪欲になるべきだ」と明快でした。後で梶谷先生に聞いたのですが、最初に会場に入ったときはころあいを見計らって途中で退室しようと考えていたそうです。けれども、いざパネリストのスピーチが始まってみんなの議論が進むと、すっかり聞き入ってしまい、結局最後まで残っていたとのことです。
約1時間のトークセッション。終了後に聴衆から回収したコメントシートからは、発言した学生はもちろんですが、聞いていた学生においてもこのテーマに対する考えが深まったことが感じ取れました。そのうちいくつかを紹介します。
「学生と教員がともに考え合って作っていくのが人間社会学科なのかなと思いました。私たちの学科は、まだ作りたてなので、年を積むことで完成されていくのだと私は思い、この学科に少し光が見えてきました」。
「この環境を変えるのは、教員ではなくて私達自身でないと意味がない!これから始まるプロジェクトゼミなどでもっと自分たちを変えるための企画を実行していきたいと思った」。
「みんなそれぞれ思い描く人間社会学科は違う。もちろん答えが出る議論ではないが、他人の意見が聞けてよかった。自分と共通する意見よりも自分と共通しない意見の方がありがたかった。半年後にまたやれば面白いと思います」。
「素直に、面白かった。授業ということを忘れるくらい。全員が意見をもって話し合いに参加したのではないかと思う。マイクを持ってセッションに積極的だった。私も意見を言えて楽しかった」。
「トークセッションは、即興でものごとを論理的に話す能力が身につくと思う。T君がすごかった。自分も質問される側の立場を想像して答えを考えたが、あんなにすぐに思いつくものではなかった」。
「一期生として将来への不安やこれからの後輩のために足跡を残していく責任がある。私たちで、後輩のためによりよい環境を作れるよう試行錯誤していく。必要なのは積極性。
もっと他学科、地域と交流を」。他にもたくさんのコメントがありました。


